うわべだけの防災設計は危険

基本的な防災知識に欠ける設計者や計算結果だけに頼る防災コンサルタント、法令の文言だけで審査している審査機関等が性能設計(避難安全検証法)を扱うと、かえって危険な建物となってしまいます。

避難安全検証法の検証方法は、人間がフォローしないと有効に働かないからです。避難安全検証法の基本的な理念は室内で発生した火災による煙やガスに曝されないように避難する事です。これは、法律で定められた検証計算結果のみで判断できるものではありません。本来、法の理念に照らし合わせ、問題があれば審査機関のチェックで修正されるべきです。しかし、ほとんどの場合、その機能は働いておらず、法解釈の言葉尻を捉えただけの判断で指導がなされているのが現状です。

以下のような計画や法解釈は非常に危険な建物となる可能性が高いと考えます。

  • 階の最終出口の手前に前室を設置したもの

    避難安全検証法の理念にかなった設計例

  • 非居室の火災室(倉庫等)を通らなければ避難できない居室が設置されているもの(視認性の悪い居室内居室)

    避難安全検証法の理念にかなった設計例

  • 居室の奥に廊下が設置され、その奥に居室が設置されているもの
  • 3,000m2を超える室

避難安全検証法の理念から大きく外れていると考えられる事例

また審査機関がOKと判断しても、本来の避難安全検証法の理念から大きく外れていると考えられる事例もあります。
例えば次のようなものです。

  • 避難途上の煙降下について、法で定められたもの以外は計算しなくてよいとする。
  • 廊下に設置された階出口を使わず、階の煙降下時間を算定しなくてよいとする。
  • 「室」「居室」を使い分けた煙降下時間判定の区別。
  • 床段差を無視した煙降下時間判定。
  • 壁面が開放された屋内空間について、床面積に算入しないから屋外として扱うこと。

現実にはこういう建物はたくさん実在し、幸い大きな問題が起こることなく経過しています。しかし重要なのは、前例の有無ではなく、本来、法が求める安全性能が確保されていることではないでしょうか。
一級建築士の皆さん、審査機関の皆さん、私たちは、目先の利益にとらわれず将来の社会資本となる建物を作り、本来の自分たちの役割と責任を果たしてゆくべきだと考えます。

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