階煙降下時間の算出と判定

階煙降下時間は階出口の設置される室で算定する必要があります。
出火室ごとに煙降下時間算定室への煙伝搬を一つ一つ計算していくのは大変な作業です。

今回の『オフィスA』のように単純なプランでも、以下の11ルートの計算が必要です。

  • 事務室 → 廊下
  • 支店長室→ 事務室
  • 支店長室→ 事務室→ 廊下
  • 倉庫→ 事務室
  • 倉庫→ 事務室→ 廊下
  • 会議室(1)→ 廊下
  • 会議室(1)→ 廊下→ 事務室
  • 会議室(2)→ 廊下
  • 会議室(2)→ 廊下→ 事務室
  • 応接室→ 廊下
  • 応接室→ 廊下→ 事務室

これが例えば、避難安全検証法が使われることの多いスーパーマーケット等になると、出火室だけでも10室以上に及ぶため、何十通りもの煙伝搬経路の確認が必要となってしまいます。

しかし、全ての計算を行わなくても、煙降下時間の算定が簡単にできる方法があります。煙伝搬による階煙降下時間を階避難終了時間より長くするためには、特殊な構造の大規模空間を有する建物を除き、煙伝搬経路途上への防火設備の設置が必要となるからです。そこで、次の作業を行います。

階煙降下時間を求める必要のある室の床から1.8m以上の部分の体積(蓄煙体積)を求めます。次に出火室ごとに煙降下時間を求める室の途上に設置される最も大きな面積の扉を抽出し、防火設備とした場合のその扉から漏れ出る煙量を算出し、蓄煙体積をそれぞれの漏れ出る煙量で除し、避難終了時間より長くなっている事を確かめればOKです。

『オフィスA』では

  • 廊下の蓄煙体積 55.350㎥
  • 廊下に面する最も面積の大きな扉は会議室(2)に設置されているD5・D6扉
    面積 3.6㎡ 2箇所設置されているので7.2㎡
  • 防火設備1号の場合廊下での煙発生量は 2×7.2 =14.4㎥
  • 廊下でも煙降下時間は 55.350 / 14.4 = 3.8438分
  • 避難終了時間 7.6889分 > 3.8438分 NG

この時、会議室(2)内で蓄煙され漏れ出すまでの時間が考えられますが、居室の煙降下時間=1.0679分、これを加えても避難終了時間より長くなることはありません。よって、D5・D6扉は防火設備2号とする必要があることがわかります。
この作業を繰り返すことで階避難安全性能を満たすために必要な扉の防火性能が確認できます。

安全性能を確認するだけであれば、計算方法を少し工夫するだけで比較的簡単に結果を得られるでしょう。問題は、その結果を申請書にまとめ、審査機関のチェックを乗り越えることです。計算方法の工夫を説明しても受け入れられない場合、愚直に全ての煙伝搬経路について計算する必要があります。

判定

避難終了時間 7.6889分 < 煙降下時間 9.7969分

以上により『オフィスA』の避難安全検証法による階避難安全性能が確認できました。

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